生まれ変わり
重松宗育住職















もし輪廻転生というものがあって
死後の行く先を選べるなら
私は人間界はもうけっこうで

そう、田舎道の傍らに茂る栴檀がいい。
見晴らしのいい広々とした所で、
枝を伸ばし、好き勝手に立っていたい。
さらさらと葉の茂る夏には蝉たちに
木登りして遊ぶ子供たちに
炎天を逃れ日陰が集う女学生たちに
にわか雨で雨宿りをする老人たちに。
誰にでも場所を提供するけど
私はただ好き勝手に立っているだけ。

あるいは
山奥の薬草もいい。
知る人ぞ知るような山奥へ分け入り
虫に刺され、岩で膝をすりむき
目立たぬ物陰にいる私を
ひたすら探し求める熱心な人がいたら
私は
自分が受け継いだ宝物のすべて
私のもっているもののすべてを
手渡したい。


                               承元寺住職 重松宗育著
                               愚中庵詩集④「千の風になる前に」 より









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